スプーンで1シーズンを釣るコツとは?
早期
低水温により魚の動きも著しく鈍くなる時期です。日中の水温上昇など例外的に活性が高くなることがありますが、基本的には動きの遅い魚に合わせた対策が必要になってきます。この場合、トゥイッチングなどでアグレッシブに狙うミノーイングより、スローに誘うことができるスプーンの方が攻略に適したルアーと言えるでしょう。ひと口にスプーンと言っても様々なタイプがありますが、「とりあえず1匹を釣りたい」ということであれば3~5g程度のウエイトの軽いものが有効です。また、肉厚が薄いものを選択すれば、よりスローに誘うことができます。早期は流れのきつい場所に着くことはほとんどありませんので、トロ場など流れの緩い場所をメインに狙っていくと釣果に恵まれるはずです。トラウトの中でも低水温に強いイワナは早期の好対象魚。岩盤帯が絡んだ場所が主な着き場になっているので、メインで狙うのもアリでしょう。また、解禁後のまだ雪の残るような極めて水温が低い時期は、シルバー系のカラーが強いような気がしています。
盛期
水温が適水温になり、直アップの速い釣りが有効になってきる時期です。瀬や石が絡んだ所に魚が着くようになるので、そういったポイントにスプーンをキャストしたら、流れに乗せながらアクションさせるといいでしょう。とくに、ヤマメの場合は上っ面を喰ってくるので、見切られない速度でシェイクに近いようなトゥイッチを加えてあげます。3g前後の小型スプーンを使用すれば、表層をゆっくり引くことができますのでオススメです。イワナは点の釣りで、流れと障害物が絡んだポイントのキワを狙います。ある程度落とし込んであげてからのシェイクが有効。イワナはヤマメより遅く動かす中にも喰わせの間を入れていきます。ダウンで留める釣りも有効です。
後期
最近は秋といっても残暑が厳しく高水温や渇水に悩まされることも多い。その場合、魚のバイトも早期と同様に浅くつくようなものが多くなるため、ナチュラルなアピールで誘いつつしっかり喰わせたいところ。そんな時期に多用するのがどんな魚も捕食しやすい小粒なシルエット&シェル貼りのスプーンです。また、掛けを重視した細軸のフックも有効です。渓相から魚の大きさを考えて、軸の太さを変えていくこともあります。
リーリングの適正スピードとは?
時速何kmなどという表現はできませんが、アップストリームの場合はリトリーブするための距離をなるべく長くとった後、速巻きします。立ち位置の設定が一番重要になってきます。ダウンストリームの場合は、流れの抵抗によって変わってきます。通常はゆっくり巻きますが、流れの強い場所ではスプーンが回転しないギリギリのテンションを保ちながらリトリーブします。つまりアップの場合は速巻き、ダウンの場合は遅巻きがセオリーであり、その中で適正スピードを探していくことが重要です。最近は各社からハイギアリールがリリースされていますが、これを使用することでとくに速い巻き取りが有利になります。もちろん遅巻きにも対応できるので、スプーンオンリーの釣りであればオススメです。
同じシルエットで肉厚違いのスプーンの使い分けは?
同じ立ち位置でより遠くのポイントを攻めたい場合に肉厚のものに換えます。肉薄のものよりアクションがタイトになるので、小さなシルエットで魚にプレッシャーを与えずにアプローチすることができます。それとは反対に肉厚が薄ければ薄いほどボディの水絡みが良くなりアクションが大きくなる傾向にあるので、高活性時やアップで素早く流したい時によく使います。また、フォールスピードも異なりますので、魚の活性や時期的な要素も考慮しておき、夏場は肉薄でウエイトの軽いものをゆっくりフォールさせて、その間のバイトも狙う釣り方もします。肉厚のものは素早くボトムを到達させて底を手返しよく探るために使用することが多いです。
スプーンで大物は釣れるのか?
大物が潜んでいそうな淵などでは表層に小型が、中層からボトムにかけて大型が着いていることがよくあります。そんな場所ではよくディープミノーが使われるイメージがありますが、攻められる範囲が限られてしまいます。その点スプーンであればロングリップミノーでも届かない落ち込みの下まで送り込めるので、攻略範囲はものすごく広いです。釣り方としてはいったんボトムまで沈ませて、着底させた後に竿先をあおります。その際の浮き上がりやターン時に魚が食いつくことが多いイメージがあります。また、スプーンは根掛かりが少ないので、ボトムバンプで底の大物にアピールすることも可能です。
スプーンのアピールはスレた魚に有効か?
ミノーで釣れない魚はスプーンで狙う。このように、スプーンを攻め直しをするためのフォロールアーとして使う方も多いと感じています。その際のカラー選択はミノー以上に気を遣う必要があります。もちろんカラーは状況によって変えていきますが、濁りの金、低水温&快晴時の銀というオーソドックスなベースカラーに加えて、ローライトの場所ではチャート、昆虫を意識した黄緑、激戦区に強い光沢のないマットカラー、シルエットのくっきりした食わせの黒。この6種類は用意した方が賢明です。
スプーンでの堰堤攻略はどう行うのか?
川によっては禁漁区域に指定されていることもありますが、魚が溜まりやすいポイントです。ただし見た目にも分かりやすく常に釣り人に狙われやすい場所でもあるので、思った以上に釣れないポイントでもあります。ここでの狙い目は、まず落ち込みの向こう側にある、流れによってできた窪み。大抵の魚はプレッシャーから逃れようと、この場所に入っていることが多いんです。この下に流れに負けない程度のウエイトのあるスプーンをアップやアップクロスで入れていきます。その際に有効なアクションが着底後のシェイク。移動距離を抑えた大きなアピールで魚のバイトを誘うことができます。また、落ち込みの両脇にある溜まりも魚が着きやすいポイント。流れが巻き返して反転流が作られていることが多く、この流れの抵抗を利用することで、ただ巻きでも安定してリトリーブすることができます。
ダウンストリームでのスプーンの有効な使い方は?
川幅の広い場所ではダウンストリームの釣りが良く行われます。基本はクロスやダウンクロスにキャストして流れを横切らせるように引いてくる。最終的に直ダウンの状態になってルアーを引くことになります。この時、スプーンをウォブリングさせた状態をキープさせてゆっくり引いてくる。もちろん、ミノーのトゥイッチによる誘いや止め(ポウズ)が有効な場合もありますが、スプーンによるスローな誘い、またタイトなフラッシングがスプーンを追ってきた魚に対して有効なことが多々あります。
難しいスプーンの直アップのコツとは?
ミノーにはリップという抵抗板があり、スプーンにはそれがありません。そのため、流れの中でしっかりアクションさせながらストレートに引いてくるには、流れに同化させるための比較的速いリトリーブが必要になります。また、トレースコースはストレートなので食わせの間がとりにくくなります。この場合、ポイントに対してできるだけ角度をつけてあげることが重要で、ピックアップ寸前にターンさせることで食わせの間をとるよう心がけます。しかし、立ち位置によってはストレートに引かざるを得ない場合も出てきます。その場合は、竿を立ててシェイクするというのも一つの手。左右に小刻みにアクションするスプーンが水流の中で抵抗を生み、移動距離を少なくした攻略が可能となります。使用するスプーンも、幅広でアクションが大きめのものを選択するといいでしょう。どんなルアーでもただ流下させるより、多少でも動いているものの方が釣果が出せると考えています。できるだけアクションさせやすい立ち位置を見つけて流してくるのがベストです。
スプーンの有効な使い方は?
スプーンはただ巻きでの誘いはもちろん、フォールの釣り、ドリフトテクニック、ボトムバンプ、トゥイッチなど様々な釣り方に対応してくれます。また、回転しにくくしっかり泳いでくれるスプーンを選択すれば、アップからダウンまで幅広いシチュエーションにも対応できます。また、湖に落としてしまったスプーンにトラウトが喰い付いたという逸話があるよに、フォールの釣りに関してはスプーンが起源になるのではないでしょうか。このフォールの釣りはとくに有効で、沈下途中、着底後のアクション、リトリーブと3つのタイミングでバイトが期待できる一石三鳥の釣り方になります。まずフォール用のアクションが重要で、流れに負けずにジグザグに落ちてくれるものを選択します。非常に短い距離で底まで到着してくれるので、その後のリトリーブが行いやすい。また、このようにジグザグに落ちてくれるスプーンであれば、エグレの下に落とし込むことも可能です。着底した後は、いったん煽って誘い、ボトムを叩くようにリトリーブしてきます。
スプーンのドリフトとは?
キャスト後、流れに同化させながら流下させ、流れの筋を横切らせる。筋から出たら、リーリングはほとんどせずに泳ぎをキープしながら定位させるように魚にじっくり見せていく。この一連の動作をドリフトの釣りと認識しています。魚の着き場と魚が喰う場所を理解していればかなり有効な攻略法になると思います。このテクニックは流れによってラインテンションの掛け方が変わります。常にスプーンにアクションさせ続けることが重要ですので、スプーンごとの特徴を把握することが一番のカギになるでしょう。スプーン自体のアクション、つまり泳ぎから流れの質を感じていないと、流れの強い所では浮き上がり、流れの弱い所ではアクションさせきれません。「これ以上巻くとダメだな」という抵抗をキープするように心がけています。
スプーンを広いポイントでアピールする方法は?
川幅の広い場所はとにかくワイドに攻めます。立ち位置を決めたら、ウエイトのあるスプーンを遠投して川を扇状に探っていくイメージです。また、同時にタイトに攻めることも重要。キャストする毎に沈み石などの障害物をなめるようにトレースします。この時、魚の着き場を意識することがカギになってくるでしょう。広い場所で使うスプーンは、シルエットの大きな幅広のものを使用することが多くなりますが、これは大きな湾曲面がウォブリングすることで強いフラッシングを生み出し、広範囲から魚をおびきよせることができます。ただし、プレッシャーの高い状況ではシルエットを小さく見せるために、細身や小型のスプーンを使用することもあります。
スプーンのアピールは強いのか?
ミノーに比べてしまうとただ巻き時の泳ぎはタイトですが、フラッシングによるアピールの強さは強烈です。水中でアクションするスプーンを見れば一目瞭然でしょう。とくに金や銀といったメッキ系のカラーが繰り出すきらめきは水中のトラウトに極めて効果的。また、アクションに関しては形状によりタイトなものからワイドなものまで様々なタイプがあり、これに数限りないカラーリングが加わるわけですから、アピールパターンは数限りないですよね。また、最近ではマット系のカラーもよく見られるので、よりアピールを抑えた誘いか方もできます。
スプーンのトゥイッチングの有効性は?
リトリーブで誘うのがスプーニングの基本ですが、もちろんトゥイッチで誘うこともあります。これはスプーンという金属板が発生させる独特のきらめきにょるアピールを狙ったもので、乱反射が強くなり広範囲からトラウトをおびき寄せる効果があります。ミノーとはまったく異なる波動を出せるところもまた魅力です。リトリーブの合間にトゥイッチを入れることでリアクションバイトを誘発し、魚に食うタイミングを与えることにも繋がりますし、さらにアワセの役割も果たしてくれます。
スプーンのロッドアクションはどう入れるべきか?
ひとつはただ巻きの中に時折入れるというもので、これは追ってきた魚に対してバイトのきっかけを与えるための動作になります。規則的な動きの中に不規則に入れるバランスの崩れが魚の反射喰いを誘発してくれると考えています。もうひとつは連続トゥイッチで、金属独特きらめきを広範囲に伝えて広く探ることができます。また細身の水を逃しやすいタイプのスプーンであれば、ジャークのようなアクションも可能でしょう。さらに、小型で表層で引きやすいスプーンであれば、シェイクし虫をイメージさせることも可能なので、陸生&水生昆虫パターンとしても有効です。トゥイッチ水の抵抗によって移動距離を抑えた攻略ができるのも特徴のひとつです。